前庭性片頭痛とは

前庭性片頭痛という疾患があります。

片頭痛の病態が引き起こすめまい症のことです。

以前から片頭痛とめまいの関連性は指摘があったようですが、疾患概念自体は比較的最近に確立(2013年から国際頭痛分類に掲載)されました。


前庭性片頭痛のめまいは69%が回転性であり、また頭位変換で増悪することから、

『繰り返す良性発作性頭位めまい症』と誤認識されてしまっている場合が多いとされます。

また持続時間は数分から1日以上と多彩で、耳鳴りや耳閉感といった蝸牛症状を伴う場合もあります。蝸牛症状は両側性のことがあり、メニエール病(基本、片側性)との鑑別点です。



この疾患は片頭痛の病態の一環としてのめまいであり、頭痛を伴うことが特徴です。

頭痛が先行する場合(55%)とめまいが先行する場合(23%)のいずれのパターンもあります。

※めまい先行の前庭性片頭痛は、『脳幹性前兆を伴う片頭痛』との鑑別が必要になります。

なぜなら、前者はトリプタン製剤が適応になるのに対して、後者は禁忌だからです。


光過敏、音過敏は80%以上に見られるという報告もあり、前庭性片頭痛の重要な所見です。


治療は前庭性片頭痛に特有のものはなく、めまいに対しては第1世代抗ヒスタミン薬が投与されます。発作予防は片頭痛や頓用薬は片頭痛と同様ですが、上記※には注意が必要です。


前庭性片頭痛は『片頭痛もちの人に起きる繰り返すめまい症』と言えますが、もちろん片頭痛の人にそれ以外のめまい症が起きている可能性も十分にありますので、一般的なめまい診療が必須となります。


今回の参考図書。

★『めまいの診かた、治しかた』★

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