発症から1分未満で痛みの強さがピークに達する激しい頭痛を雷鳴頭痛といいます。
雷鳴頭痛の原因となる疾患でよく知られているのは、
くも膜下出血、頸動脈・椎骨脳底動脈解離、脳静脈洞血栓症などですが、
可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)と言う疾患もあります。
RCVSは全容解明されていません。
何らかの誘因により脳血管が攣縮・拡張する疾患です。
発症初期は遠位部の細い血管が攣縮し、それが時間経過で近位側に求心性に攣縮が起きます。
RCVSの特徴は『雷鳴頭痛を繰り返す』ことです。
また片頭痛を連想する音・光過敏、嘔気嘔吐、一過性の視野欠損などの症状もRCVSで呈することがあります。厄介なのは片頭痛の治療薬であるトリプタン製剤がRCVSの誘因になり得ることです。さらに厄介なことに片頭痛の既往はRCVSの発症リスクと言われているため、両者の鑑別は重要です。
その他の特徴として
・中年女性に多い。
・妊娠、産褥。
・入浴、シャワー、運動、飲酒、ストレス。
・α刺激薬、セロトニン作動薬(トリプタン、SSRI、SNRI)、血液製剤。
などが発症のリスクファクターです。他にも様々な原因がトリガーになるようです。
救急外来での診断は難しいです。
なぜなら、上述したように発症初期では遠位の血管のみに変化が生じているため、CTAやMRAでは描出が難しいからです。近位部まで病変が及んでいる場合は、数珠状の血管攣縮像が見られます。血管造影が最も確実な診断方法とされます。
そのため、『繰り返す雷鳴頭痛』をキーワードに本疾患を想起できるようにします。
治療は誘因の除去及び対症療法です。
NSAIDsも誘因になりうるためアセトアミノフェン点滴静注をおこないます。
また発症数日後に脳梗塞やくも膜下出血、脳出血を合併することもあります。
これらの脳卒中を見た時は、その背景疾患としてRCVSを疑うことも大切です。
今回の参考図書
『救急外来、ここだけの話』
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