腹膜垂は結腸ヒモに沿って垂れ下がる小さな脂肪組織。
目立たない存在ですが、腹膜垂炎という疾患を起こす可能性があります。
腹膜垂炎は腹膜垂の捻転や血栓により炎症が起きる疾患です。
症状が類似している大腸憩室炎や虫垂炎と間違われる可能性があり、
大腸憩室炎が疑われた疾患の2.3〜7.1%、
虫垂炎が疑われた疾患の0.3〜1%は本疾患だったという報告もあるようです。
男性は女性の4倍発症しやすく、肥満や激しい運動もリスクファクターになります。
通常の腹膜垂はCTで同定することが困難ですが、
腹膜垂炎を起こすと、腹膜垂の周囲の脂肪織濃度が上昇するため、
hyperattenuating ring signと呼ばれる所見が結腸に隣接する卵円形の結節として確認できます。
卵円形の構造物の中心に血栓を意味する点状もしくは線状の高吸収域が見られることもあります。
治療は解熱鎮痛薬による保存的加療です。
虫垂炎、憩室炎を思い浮かべたら、鑑別疾患として挙げられるといいですね。
今回の参考図書
『プライマリ・ケアの現場で役立つ さらに!一発診断100』
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