納豆アレルギーはクラゲ、肉アレルギーはマダニ

 マリンスポーツ愛好家に納豆アレルギーが多いと聞いたことがあるでしょうか。


海中をふわふわと浮いているクラゲ。

可愛らしい見た目と裏腹に、サーフィンやシュノーケリングなどのマリンスポーツをしていると刺されることがあります。

クラゲは刺胞と呼ばれる細胞小器官を有していて、クラゲに触れた物に向かって毒針を発射します。その毒の中にポリガンマグルタミン酸(PGA)という物質が含まれています。

マリンスポーツ中にこのPGAに感作されます。


その一方、納豆は、納豆菌が大豆を発酵することで出来ます。

その過程でクラゲの刺胞にも含まれているPGAが産生されます。


このような理由で、クラゲに刺される機会が多いサーファーに納豆アレルギーが多いと言われています。もちろんこのサーファーは中華料理の冷製クラゲを食べてもアレルギーが起きます。


同じように動物に刺されることで起きてしまうアレルギーがあります。

医療界で『マダニ』と聞くと、リケッチア感染症を思い浮かべますが、マダニが引き起こすのはそれだけではありません。

マダニにかじられると、その唾液中にα-Galと呼ばれる物質が含まれていて、それに対してアレルギーが確立します。

その一方でウシ、ブタ、ヒツジなどの霊長類以外の哺乳類のタンパク質上にある糖鎖の一部にもα-Galがあるため、マダニ咬傷を受けた一部の人は肉アレルギーとなりえます。

また肉アレルギーの人は、カレイの魚卵(α-Galと交差反応がある糖鎖が存在)とセツキシマブ(EGFRモノクローナル抗体。α-Galが構造内に存在。)にもアレルギーを持つことが知られています。

アメリカのロッキー山紅斑熱(ダニ咬傷によって発症)の多発地域にセツキシマブアレルギーが多いことから研究が進んだそうです。

日本では日本紅斑熱の好発地域の西日本に肉アレルギー、セツキシマブアレルギーが多い可能性があります。


納豆アレルギーも肉アレルギーも頻度が少ない上に、

食事摂取後、半日程度してから発症する遅発型アレルギーなので診断にたどり着くのが難しいと思われます。


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