今回は『整形外科教室』という本を読んでみました。
慶應義塾大学出身の清水健太郎先生が書かれた整形外科疾患の簡易的なまとめ本。
疾患の詳しい説明などはバッサリと省かれています。
クリニカルパール的な内容です。
この本の『見落とし症例』の章を要約します。
① ガンを見落としてしまう
・骨転移
原発巣が骨に転移した場合、他の疾患と比較してとにかく疼痛が前面に出ます。
座薬が効かない、寝ていても痛いなどの症状があれば骨転移を考えます。
あまりに症状が強いので心因性と考えられてしまうこともあります。
・病的骨折
若年者の非外傷性の骨折も、ガンによる病的骨折を疑わなければいけません。
また多発性骨髄腫による骨折も考慮します。
・原発性腫瘍
骨盤腫瘍は坐骨神経痛として来院することがあります。
上肢痛、肩痛でパンコースト腫瘍であることもあります。
② 舟状骨骨折を見落としてしまう
舟状骨骨折は若年者が手をついて受傷することが多いとされます。
橈骨遠位端骨折を疑ったときは、これを考える必要があります。
かぎたばこ入れの圧痛がみられます。
③ 高齢者の骨盤骨折を見逃してしまう
高齢者が転倒した場合、大腿骨頸部骨折を疑いますが、恥骨骨折だったというケースが多いです。また大腿骨骨折に骨盤骨折が合併していることもあるので、広い目で画像をみます。
④ 下位頸椎、上位胸椎の脱臼を見逃してしまう
Xpでは肩と重なるため、見逃しが多くなります。
首が短い人だと特に見えにくいです。
⑤ モンテジア骨折を見逃してしまう
肘の骨折の中で尺骨骨折に橈骨頭脱臼が合併しているのをモンテジア骨折と言います。
よく見逃される代表疾患です。
⑥ 外側椎間板ヘルニアを見落としてしまう
椎間板ヘルニアは椎間板が飛び出る位置によって分類されます。
正中ヘルニア、傍正中ヘルニア、外側ヘルニアです。
外側ヘルニアは下肢の激しい疼痛がみられますが、画像上、わかりにくく見逃されることがあり、心因性と勘違いされてしまうことが多いです。
まとめは以上です。
誰しも見逃す事はあると思いますが、見逃しやすい疾患を意識することでそのリスクを減らすことができると思います。
今回の記事は、
『整形外科教室』を参考に作成しました。
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