今回は胃壁に気腫が見られる疾患についてまとめます。
胃の壁内気腫を起こす疾患には2種類あります。気腫性胃炎と胃気腫症です。
それぞれの特徴を見ていきます。
▪️ 気腫性胃炎
これは化膿性胃炎の一種と考えられていて、ガス産生菌の胃壁での感染が原因で起きる現象です。予後は不良とされています。
▪️ 胃気腫症
胃気腫症の気腫は、上記のガス産生菌の感染によるガスではなく、『空気』です。
原因により3つに分類されます。
Mechanical type
急速な胃の拡張により、胃の内圧が上昇し気腫が生じるタイプです。
幽門狭窄(腫瘍や潰瘍)、胃捻転、小腸閉塞が原因となりえます。
Traumatic type
胃粘膜の破綻により気腫が生じるタイプです。
上部消化管内視鏡検査、胃管留置、食道ステント留置など医原性の場合が多いようです。
※摂食障害の患者が過食後、嘔吐した場合にも胃気腫症を発症することが知られています。
これはMechanical type(食物による胃の急性拡張)にTraumatic type(嘔吐による粘膜破綻)が合併し、発症する機序が考えられています。
Plumonary type
肺気腫やブラの破綻から空気が胃壁に流入するタイプです。
気腫性胃炎も胃気腫症もCTでの診断が基本です。
前者では胃壁の肥厚に加え、気腫が嚢胞状、斑状に見られるのに対し、
後者は線状に気腫が見られます。
ただ胃気腫症でも嚢胞状のガスが見られたり、胃気腫症から気腫性胃炎に移行する症例なども知られているため、画像評価のほか臨床経過も両者の鑑別には重要です。
また両者とも門脈ガスが見られることがあります。
門脈ガスは腸管壊死を間接的に認知する所見として知られていますが、胃気腫症でも門脈ガスは見られますので、必ずしも腸管壊死を反映していないこともあり得ます。
まとめは以上です。
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