周期性嘔吐症候群に似たカンナビノイド嘔吐症候群とは

周期的に難治性の嘔吐が出現する疾患に『周期性嘔吐症候群』 があります。

小児(発症年齢中央値4.8歳)にも成人(発症年齢中央値35歳)にも発症しうる原因不明の疾患です。軽症であれば数年で自然軽快することでも知られています。

病態の解明は進んでいませんが、片頭痛に移行することも多く、国際頭痛学会による分類では片頭痛の一つと考えられています。


この症候群によく似た症状を示すのが、『カンナビノイド嘔吐症候群』。

カンナビノイドとは、大麻に含まれる化学物質の総称です。

カンナビノイドは少量では制吐作用を示しますが、高容量では反対に催吐作用が出現します。

そのため、大麻を長期間・高容量使用した場合に、難治性の嘔気・嘔吐が生じることがあり、

『カンナビノイド嘔吐症候群』と呼ばれます。この症候群も病態解明が進んでいないようです。

根本的な治療は大麻の使用を中止することですが、中止しても即効性はありません。

そんな時は『熱いお風呂』と『カプサイシンクリーム』です。


カンナビノイドは痛覚受容体に作用することから、上記のような別の痛覚刺激をすることで、痛みのサイクルがとまり、症状が和らぐとされています。


アメリカでは、大麻製品のカンナビノイド含有量が以前より増えたことにより、

大麻使用が合法な州を中心に、このカンナビノイド嘔吐症候群が増加しているようです。


今回の記事は『外来診療のUncommon Disease Vol. 3』を参考に作成しました。


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