今回は浜辺祐一先生が書いた
『救命センター カンファレンス・ノート』を読んでみました。
浜辺先生は兵庫県生まれ、東京大学医学部を卒業されたそうです。
その後、東京大学救急部、国立水戸病院外科を経て、1985年からは都立墨東病院に勤務され、現在は同院の救命救急センター部長としてご活躍されています。
この本は10話の短編集となっています。
内容は一般向けに医療用語の解説をしながら、モーニングカンファレンスでの医師同士の会話を元に、人の生き様・社会問題が描かれています。
救急医である私にとっては『救急あるある』本といった感じで、
どこの救命センターも同じような状況にあるんだなーとしみじみ感じました。
そんな中、私が勤務している救命センターと大きく違うと感じたのは、
『救急搬送される患者の選別』についてです。
この本では、
『目撃なしの高齢者CPAを救命センターに搬送するのは問題である』
とか
『慢性期の末期患者を救命センターに搬送するのは問題である』
のような事項について多く書かれていました。
墨東病院は、『高度医療を行えば、救命可能性のある3次救急患者のみを対象にしている』ということを強く感じました。
それを実現するためにはプレホスピタルでの『救急隊の選別眼』の精度が高く要求されると思いました。
私の勤務する救命センターは、同じ救命センターでありながら真逆の立ち位置で、
風邪のような1次救急から、CPAなどの3次救急まで全ての救急患者を受け入れています。
どちらのスタンスが正しいというわけではありませんが、地域の医療事情により救命センターの役割が大きく違うのを実感しました。
主には一般向けの内容ですが、医療者が読んでも面白い本です。
短編集なので空き時間などに気軽に読みやすいです。
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