肺塞栓症を疑ったときは、
D-dimerや12誘導心電図、心エコーで、血栓の存在を間接的に観察します。
そしてなお疑う場合は、造影CTを撮影して直接的に血栓を証明するがスタンダードだと思います。造影CTでも証明できない場合は、末梢性の塞栓が考えられますので、肺換気血流シンチグラフィーが追加されます。
今回は上記のようには、肺塞栓症の診断時に脚光を浴びない胸部Xp所見についてまとめてみようと思います。
① Westermark sign
これは肺塞栓によって肺の血流が限局的に減少することで、限局的に肺野の透過性が亢進する所見です。塞栓範囲が広ければ明らかなこともありますが、小さな梗塞では読影困難なことも多いようです。
白矢印頭が示している領域がWestermark signですが、わかりにくいです...。
『https://casereports.bmj.com/content/12/9/e231693』より引用② Knuckle sign
血栓閉塞した肺動脈が拡張し、その末梢で急激に狭小化して見える所見です。
Knuckle(こぶし)に見えなくもないですね。
『https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsth/24/4/24_370/_pdf』より引用③ Hampton hump sign
肺塞栓により虚血に陥った領域が『Westermark sign』とは逆に浸潤影を呈する所見です。胸膜に接するようなクサビ状の陰影になるのが典型例です。1940年代にHamptonさんが発見したようです。この所見が見られるのは肺塞栓症の10%以下ですが、それは肺は肺動脈と気管支動脈の二重支配を受けているため、梗塞になりにくいからとされます。末梢の動脈が詰まった時に、生じやすい所見のようです。
『https://en.wikipedia.org/wiki/Hampton_hump』より引用
今回の記事は、
『外来診療のUncommon Disease Vol.3』にインスピレーションを得て作成しました。
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