カンジダ属は、皮膚や消化管に常在しています。
そのため、中心静脈カテーテルや熱傷などの皮膚バリア損傷、
また腹部手術などによる腸管粘膜の破綻によりカンジダ血症になることがあります。
カンジダ属の中で最も頻度が高く、約半数を占めるのが、C.albicans。
albicans以外のカンジダをまとめてnon-albicansと呼ぶことがあり、
近年はこのnon-albicansが増加傾向にあります。
non-albicansはその頻度順にC.glabrata(高齢者に多い)、C.parapsilosis(若年者に多い)、C.tropicalis、C.kruseiとなります。
これらのカンジダ属に対して、抗真菌薬をどう選択するかが問題です。
抗真菌薬には大きく分けて
アゾール系(フルコナゾール)、キャンディン系(ミカファンギン)があり、
各カンジダの感受性は以下の通りです。
| アゾール系 | キャンディン系 |
albicans | ◯ | ◯ |
glabrata | ×〜△ | △〜◯ |
parapsilosis | △〜◯ | △ |
tropicalis | ◯ | ◯ |
krusei | × | ◯ |
つまり、albicans、parapsilosis、tropicalisだったらアゾール系を使える可能性があり、
glabrata、kruseiだったら原則キャンディン系を使用することとなります。
またアゾール系耐性のリスク因子は、好中球減少、最近のアゾール系の使用歴、慢性腎臓病、慢性肺疾患、男性と言われています。
言い換えると、
敗血症性ショック、好中球減少症などの重症病態(感受性が待てない)の場合や、glabrata、kruseiのリスクが高い場合(高齢者、慢性疾患、最近のアゾール系使用歴)は、第一選択はキャンディン系。
非好中球減少者で重症度が低い場合は第一選択はアゾール系ということになります。
もちろん細菌治療と同じで感受性結果が出れば適正化するのはいうまでもありません。
またカンジダ血症の場合、カンジダ眼内炎が問題になることあります。
キャンディン系は眼内への移行性が不良であることから、アゾール系もしくはアムホテリシンB(ポリエン系)が選択されます。
カンジダによる感染性心内膜炎の場合は、アゾール系は効果不十分(バイオフィルムに対する活性が低い)のため、キャンディン系もしくはアムホテリシンBが選択されます。
カンジダ感染症は一般病棟であまり出会うことが少なく、知識が定着しにくいのでまとめてみました。
今回の記事は『感染症クリスタルエビデンス 治療編』を参考に作成しました。
かなりの良書です。
コメント
コメントを投稿