自己心拍再開したNSTEMIは待機的な冠動脈治療で良い

先日、研修医にジャーナルクラブをしてもらいましたので、共有したいと思います。

2019年にCOACT試験が発表されました。

初期波形が心室細動(Vf)もしくは脈なし心室頻拍(pulseless VT)だった蘇生後のNSTEMI症例において、即時治療群と待機的治療群に予後の有意差はないとの結論でした。

その論文を踏まえて、2021年8月にTOMAHAWK試験が行われました。

COACT試験との違いは対象患者を

初期波形Vfとpulseless VTに限らず、心静止(Asystole)と無脈性電気活動(PEA)にも間口を広くしたところです。

結果はCOACT試験と同様に

即時治療群とICUでの全身管理を経た待機的治療群で死亡率に有意差なし』とのことでした。


有意差が出ない理由としては

蘇生後の死亡は、循環動態の破綻よりは低酸素脳症が大きな割合を占める。

(蘇生後はICUでの全身管理を早期に開始できる待機的治療群が有利)


NSTEMIと考えられた症例の中で4割程度しか、心停止の原因となったであろう冠動脈病変がない。

ことが考えられるとのことです。


即時治療が有益なのは、すでに冠動脈病変が指摘され治療を行う予定だった症例だそうです。


『蘇生できたから、一応CAGやってみるか』みたいな考えは今後は控えた方が良さそうです。


原著論文はこちら

TOMAHAWK試験

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