精巣が精索を軸にして回転することで、血流障害が生じる。
そして精巣が壊死に陥る疾患、精巣捻転。
少しぶつけただけであれだけ痛いのに、捻れたら...と考えると冷や汗ものです。
発症年齢のピークは13-14歳とされています。
また左側の精索は右側より長いため、左側が右側の2-3倍発症しやすいそうです。
思春期の男の子は羞恥心があるため、陰嚢が痛くても『お腹が痛い』と表現することがあり、注意が必要です。
(※停留精巣の捻転の場合は、本当に下腹部痛になります。)
発症の時間としては深夜〜早朝が多いとされます。
そのため、
当直中に出会う『思春期の男の子の陰嚢痛・下腹部痛』が典型例と言えます。
精巣捻転は我々、救急医を含めて非専門医には診断が難しいことが多いと思います。
そこでTWIST scoreの出番です(ネーミングセンス抜群ですね)。
このスコアの便利なところは、慣れていない精巣エコーが含まれていない点です。
・精巣の腫脹 2点
・硬くなった精巣 2点
・精巣挙筋反射の消失 1点
・嘔気、嘔吐 1点
・精巣の挙上 1点
それぞれの点数を合計して
0-2点 低リスク、3-4点 中リスク、5-7点 高リスクと分類します。
低リスクでは精巣捻転は否定的で、高リスクでは精巣捻転の可能性が極めて高いそうです。
救急医の疑問:『精巣の腫脹』や『硬くなった精巣』のみを認める場合は、2点であり低リスク群になります。となるとこんなにも精巣捻転が疑われる所見なのに、精巣捻転は否定的となってしまいますが、大丈夫なのでしょうか。これらの所見が認められる場合は、そのほかの所見も伴っていることがほとんどなので、上記のみ陽性という状況はありえないということなのでしょうか。
精巣捻転は6時間以内に緊急手術を要する疾患ですので、
子供の腹痛を見たときは、必ず鑑別にあげられるようにしましょう。
今回の記事は『ひと晩待てない外科系当直疾患』を参考に作成しました。
初期研修医からシニアレジデント向けの当直に必携の本です。
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