動物咬創は救急外来でよく出会います。
多くは飼いイヌによる受傷ですが、ネコのこともあります。
これらの創で最も注意が必要なのは、創部感染症です。
創部の感染率はイヌでは3-20%、ネコでは60-80%と言われています。
ネコ咬創の感染率が高い理由は、歯が鋭いことが関係しています。
鋭い歯は刺創を形成します。刺入部は小さく、皮膚表面の創はすぐに閉じてしまうため、皮下で細菌が繁殖しやすい環境になってしまうからです。
イヌ咬創患者の多くは子供、ネコ咬創患者の多くは若い女性という違いもあります。
イヌは子供の頭頸部を咬みやすく、ネコは女性の手を咬みやすい傾向にあります。
頭頸部は血流が豊富なため感染を来しにくく、手は腱鞘炎や骨髄炎に移行しやすいのも、イヌ・ネコで感染率が異なる理由になっています。
イヌ咬創もネコ咬創も起因菌になるのは似ていて、連鎖球菌類、ブドウ球菌類、
それとなんと言ってもパスツレラです。
パスツレラはグラム陰性の短桿菌で、イヌは55%、ネコは90%程度の確率で口腔内に保有していると言われています。
そのため、イヌやネコによる創部感染に対してはオーグメンチン内服が適していると言われます。ちなみにネコによる引っ掻き傷が感染した場合は、バルトネラ(グラム陰性桿菌)感染に注意が必要で、この場合の選択薬はマクロライド系が適しています。
今回の記事は
『知っ得、納得!ER Tips』を参考に作成しました。
救急外来でよく出会う疾患を見るコツが多く記載されています。
おすすめです。
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