普段、当直がある時は、日勤+当直のことがほとんどですが、今日は当直だけ。
自由気ままにブログ更新しようと思っていましたが、
子供が熱を出して幼稚園を休んでいるため、子守しながら記事を書いています。
今回は
『人工肝補助療法における血漿交換の役割』と題してみました。
救急領域では急性肝不全に対して血漿交換をすることが多いです。
私は今まで血漿交換の目的は、『肝不全により体内に蓄積した物質の排泄』が主だと考えていました。
しかし今回、改めて調べてみたところ、急性肝不全における血漿交換は、上記のような役割はさほど期待できず、主には凝固因子の補充目的とされているようです。
実際に千葉大学の救急集中治療医学の先生方による研究によると
血漿交換単独では肝性昏睡からの意識覚醒率は33%に留まるそうです。
理由の一つは、肝不全の時、有毒物質は血管外に多く存在すると言われているため、血漿交換をしても十分な解毒効果が見込めないことです。そのため肝性昏睡からの覚醒を主な目的として、連日血漿交換をするのは薦められていません。
肝不全時に貯留するのは、小分子から中分子の有毒物質が多いため、
現在では有毒物質の除去目的には(C)HDF(血液濾過透析)が理にかなっていると言われています。
HDFの中でも小分子を効率的に除去可能なHFCHDF(高流量CHDF)や小分子だけでなく中分子の除去効率の高いOLHDFが良いとされます。これらの治療により肝性昏睡からの意識覚醒率は90%前後にまで改善が見られています。
HFCHDFやOLHDFを行う時の注意点として、抗菌薬などの重要薬剤もともに除去されてしまうことが挙げられています。厳重な薬剤血中モニタリングを行う必要があります。
上記の知見からは肝不全に対しては、
・凝固因子の補充としての血漿交換(となるとFFP投与だけでもいいのかもしれません)
・解毒/物質除去としてのHFCHDFやOLHDF
が有用であることがわかりました。
今回の記事は
『救急・集中治療 vol.32』と『日本集中治療医学会専門医テキスト 第3版』を参考にしました。
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