低体温療法は時代遅れ?

 2021年6月17日号のNew England Journal of Medicineに掲載された論文。

Hypothermia versus Normothermia after Out-of-Hospital Cardiac Arrest.

先々月に研修医にジャーナルクラブで発表してもらいました。


2013年にTTM試験で心肺停止蘇生後の低体温療法群 vs 正常体温群で予後を比較し、差がないことが明らかになりました。その頃、私は研修医だったのですが、救急科の先生方がTTM試験について熱く語っていたのを覚えています。

今回の論文は、そのTTM試験の続編。TTM2試験と呼ばれています。症例登録者数を2倍に増やして研究が行われました。

結果から言うと『低体温療法群と正常体温群で6ヶ月時点での生存率に差なし』と言うものでした。2013年のTTM試験の結果と同じですね。


◆ TTM2試験の概略

症例登録者数 1900人


低体温療法:ランダム化してから28時間は体温33℃を維持。その後、1時間に1/3℃ずつ、体温37℃まで復温(つまり12時間かけて4℃上げる)する。

正常体温療法:体温37.5℃以下を維持。体温37.8℃以上になったら、体温37.5℃以下を目標に冷却する。


結果は6ヶ月生存率と神経学的予後について、両群に有意差なし。

循環が不安定になる不整脈は、低体温療法群で24%、正常体温群で17%(p<0.001)で有意差があった。


TTM試験と今回の研究結果から『低体温療法の利益性はない』と考えてしまって良さそうです。


TTM2試験

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2100591


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