脳底動脈閉塞症に対する血行再建術は内科的治療に勝るか

 昨日、研修医にジャーナルクラブをしてもらいました。


2021年5月20日号のNew England Journal of Medicineに掲載された

Endovascular Therapy for Stroke Due to Basilar-Artery Occlusion.』。

今までの血行再建術の有用性は

内頸動脈と中大脳動脈、つまり前方循環系の研究が主体でした。

そこで今回は脳底動脈、つまり後方循環系の血行再建術の有用性について検証がなされました。


結論から言うと、

血行再建術と内科的治療に統計学的に有意差はみられなかった

と言うものでした。ただ信頼区間の幅が広いことから、それをもって血行再建術の有用性を否定するものではないようです。


サブ解析では治療後の脳底動脈開存率は、血行再建術で高い結果になっていましたが、神経予後に差がなかったことは面白い結果だったと思いました。

悪性脳浮腫は血行再建術で多かったようで、虚血再灌流障害などの理由で開存率が高いと言う有利性が相殺されてしまっているのかなと個人的には思いました。


脳梗塞といえば、t-PA!と言う時代から、

脳梗塞といえば、血行再建!と言う時代に変化していると思っていましたが、

後方循環系では一概にそうとも言えないということがわかりました。


さらに詳細な検証がなされ、血行再建術が特に有用になる症例の特徴や因子が明らかになれば良いなと勝手ながら思いました。



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