アルブミン尿のない糖尿病性腎症が増えてきた

前回の記事で認定内科医試験を受けたことをお伝えしました。

それに合わせて日本内科学会にも所属しました。

内科学会は毎月、学会雑誌を送ってくれます。ありがたいサービスです。


今回はその内科学会雑誌の6月号に載っていた

『尿細管から見た糖尿病性腎臓病(110巻6号 p1178-1183)』

を読んで学んだことをまとめてみようと思います。


糖尿病性腎症の障害の主座は糸球体です。

糸球体血管内皮障害や糸球体過剰濾過などで糸球体が障害され、

微量アルブミン尿→顕性アルブミン尿(もしくは持続性蛋白尿)→腎不全→透析と進行して行きます。

この流れが今まで考えられてきた古典的な糖尿病性腎症の像です。

ちなみに顕性アルブミン尿が出始めると、糸球体だけでなく尿細管にも障害が出現するそうです。


しかし最近ではこの流れを経ずに(顕性アルブミン尿を伴わずに)、腎障害が進行していくタイプに注目が集まっているそうです。


この新しいタイプの腎症は高齢化による動脈硬化や食生活の欧米化による肥満など様々な要因で、糸球体ではなく尿細管が障害されることによって生じることがわかってきているようです。


新しいタイプの腎障害は1型糖尿病で約20%、2型糖尿病で約40%との報告があります。病理学的には、糸球体の障害が軽度なのに比較して中等度以上の尿細管病変、動脈硬化性病変と言った腎硬化症の特徴を有しています。


これは非典型的な糖尿病性腎症なのか、単に腎硬化症なのか、糖尿病性腎症+腎硬化症なのか、まだ結論に至っていないとのことでした。


典型的も、非典型例もいずれも尿細管障害をきたすことに変わりはありません。

そこで注目されているのがSGLT2阻害薬の腎保護作用です。


SGLT2阻害薬の腎保護作用について

高血糖状態だと尿中に多量の糖が出現します。

近位尿細管でこの糖が再吸収される際に、Naも同時に再吸収されます。すると遠位尿細管のマクラデンサに到達するNaが減少します。マクラデンサはそのフィードバックとして輸入歳動脈の拡張やRAA 系活性化による輸出細動脈の収縮を起こし、糸球体の過剰濾過がおきます。

これを尿細管糸球体フィードバック機構(TGF)と呼びます。


SGLT2阻害薬は糖とともにNaの再吸収を防ぐため、TGFが活性化せず、糸球体の過剰濾過を減少させ腎保護作用を発揮します。

ただSGLT2阻害薬の腎保護作用は新しいタイプの糖尿病性腎症にも効果があるため、そのほかの腎保護の機序も研究が進んでいます。とても難しい内容なので端折りますが、異常解糖系の抑制、ミトコンドリアや酸化ストレスの軽減、TCAサイクルの正常化、ケトン体の供給など多面的な腎保護作用があるそうです。


まとめは以上です。

従来考えられてきた機序とは異なる糖尿病性腎症が明らかになりつつあること

SGLT2阻害薬の多面的な腎保護作用があること

が学べました。

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