前回の更新からかなり時間が空いてしまいました。
認定内科医試験の受験のため、そちらの勉強に勤しんでいたためです。
試験前日から横浜に入り、家族と過ごしながら受ける試験は新鮮な感じがしました。
私が試験を受けている間は、妻と子供はアンパンマンミュージアムで過ごしていたそうですが、大好きなアンパンマンの着ぐるみを目の当たりにして怖かったのか、全く楽しめていなかったと妻から聞きました。
1ヶ月前から楽しみにしていたのに。
晴れて試験が終わりましたので、またブログを書いて行こうと思います。
今回の話題は『血液培養はどんな時にとるか』です。
先日の当科のカンファレンスで血液培養をいつ取るべきかと言ったディスカッションがありました。
腹痛で来院し、CT検査で憩室炎と診断し絶食・輸液管理していた患者さん。
翌日の血液検査でCRPの著明な上昇と腹痛が増悪していたため、CT再検したところ憩室の微小穿孔の所見が出現していました。
カンファレンスでは、
来院当初から血液培養をとっておくべき派と増悪したらとるべき派に分かれていました。
今回の記事で私が参考にした医学書がこちら『敗血症controversy』。
私の所属している病院の先生方や元上司が執筆されているのをみて即買いしました。
最新の論文から導いた知見が豊富に記載されていて大変勉強になる本です。
新しい知識だからこそのcontroversy!
この本のp 55-58に書かれていたことを抜粋・引用します。
血液培養の原則
どのような時に採取するか?
① 経験的に菌血症が疑われる急激な状態悪化
悪寒戦慄、原因不明の意識障害、血圧低下、代謝性アシドーシス、低体温、麻痺など
② 菌血症を伴い得る感染症が疑われる状況
急性腎盂腎炎、胆管炎、肝膿瘍、椎間板炎、髄膜炎、カテーテル関連血流感染症など
つまり、本人の全身状態(①)や感染巣(②)を鑑みて採取することが重要です。
ちなみに術後48時間以内の発熱や症状を伴わない単独の発熱は血液培養陽性率が非常に低く、血液培養の採取は奨められないとのことでした。
①や②に当てはまらない患者に血液培養を採取することは、無意味なだけでなく有害な可能性もあります。
それはコンタミネーションが関係します。
ある報告では血液培養陽性例のうち、10-25%がコンタミネーションだったそうです。
アメリカの大学病院の報告では、表皮ブドウ球菌のコンタミネーションにより、1施設にあたり1年間で追加の血液培養900件、追加の抗菌薬投与350件、中心静脈カテーテル抜去30件が不必要に行われ、予定手技の15件が延期になったそうです。
総合すると、
検査前確率が高い(血液培養陽性になりそうな)患者さんに対してコンタミネーションに十分注意して採取しましょうと結論づけられると思いました。
私が今回、軽く調べた限り、憩室炎の血液培養陽性率が不明だったのですが、経験上、血液培養陽性例は少ない気がします。また来院時の全身状態としても安定していたため、本症例に関しては来院時は血液培養不要だが、翌日の状態悪化時には血液培養を採取すべきと考えます。
★敗血症controversy★
コメント
コメントを投稿