認知症を評価する『長谷川式簡易知能評価スケール』。
医療者なら全員聞いたことがあるレベルの有名なスケールです。
このスケールを開発したのは精神科医の長谷川先生です。
長谷川先生は元々はてんかんや脳波を専門としていましたが、教授から指示を受け、認知症のスクリーニングのスケールを作成することになります。
『長谷川式』が公表されたのが1974年。
救急医:アメリカで開発されたMMSEより1年早く公表されたのですね。
そんな長谷川先生が88歳(2017年)の時に、認知症になったと公表しました。
認知症に自身でなってみて改めて分かったことは
『今までの人生と地続きである』ことだそうです。
認知症になると訳が分からなくなり、今まで歩んできた人生なんて忘れてしまうように思えますが、そうではないようです。
1日の中で体の調子の変動があるようですが、頭がすっきりとしている朝は今まで通り考え事をしたり、お気に入りのカフェでコーヒーを飲んだりと、至って普通だといいます。午後になると怠くなり、頭の回転も鈍くなってしまうようです。
(それは長谷川先生が罹患した認知症が『嗜銀顆粒性認知症』という進行が緩徐なタイプの認知症であることも一因ではあります。)
長谷川先生は以前、『痴呆』と呼ばれ、恥ずかしく忌み嫌われるものだった病気を
『認知症』と呼称を変更した立役者の一人でもあります。
『痴呆』が『認知症』になったのは、2004年のことだそうです。
救急医:かなり最近のことに思えます。呼称を変えることで社会の認識を改め、高齢社会へと突き進む日本において、認知症患者を社会で支えていく第一歩になったと思います。
長谷川先生はこのところ転ぶことが多くなり、自分でも死期が近いことを感じるようです。
そんな中でも『いま』を大切に生きて、自分でできる範囲で社会の役に立ちたいと考えて、活動されているそうです。
救急医:この本を通じて、認知症患者さんの視点を感じられた気がします。
明日からの診療で認知症の捉え方が変わりそうです。
★ボクはやっと認知症のことが分かった★
コメント
コメントを投稿