心機能が悪い時の心房細動の治療薬

高齢の患者さんは全身状態が悪いと、しばしば頻脈性心房細動になります。

心機能が良い場合は多くの選択肢がありますが、心機能が悪い場合は薬剤の選択に悩むことがあります。


『ワソランだと血圧が低下するし、ジゴキシンだと効果が出るのに時間がかかるなー』

みたいな悩みはどなたも経験があるのではないでしょうか。


そんな悩んだ時のレシピがこちら

ジルチアゼム  or  低用量ランジオロール  

±  ジゴキシンボーラスです。


頻脈性心房細動だとなにかとベラパミル(ワソラン)!!

と思いがちですが、ベラパミルと同じCa拮抗薬のなかにジルチアゼムがあります。


ベラパミルは平滑筋に作用し末梢動脈拡張をさせるほか、陰性変時作用、陰性変力作用があり、脈拍とともに血圧も下げてしまいます。


それに比較してジルチアゼムは陰性変力作用がベラパミルより弱いため低心機能の患者さんにも投与しやすいと言われています。

最初の2分に0.25mg/kgを投与し、15分後に再度2分かけて0.35mg/kgを投与してから、5-15mg/時で投与します。



またβ遮断薬であるランジオロールも5μg/kg/分以下であれば、陰性変力作用が目立たず、低心機能の時にも使用しやすいです。



これらジルチアゼムや低用量ランジオロールに併用できるのがジゴキシンです。

ジゴキシンは脈拍を抑え、心機能を上げてくれるとても魅力的な薬剤ですが、血中濃度安定まで4-5日かかったり、ジギタリス中毒になったりとめんどくさい面もあります。

そのため、上記薬剤に併用して0.25 - 0.5mgを1回のみ静注して、補助的な役割として使うこともあるようです。



今回は低心機能の頻脈性心房細動の治療薬について書かせてもらいました。

参考にしたのは『ICU/CCUの薬の考え方、使い方 ver.2』です。

有名な本なので持っている方も多いと思います。

まだ持っていないという方はこちら。


ICU/CCUの薬の考え方、使い方 ver.2

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