幻肢痛の発生機序とラバーハンド現象

 メタルギアシリーズというゲームをご存知でしょうか?

私は小学生の時に、いとこから誕生日プレゼントで『メタルギアソリッド』をもらいました。それまではマリオとかぷよぷよのようなゲームしたことがなかったので、衝撃を受けました。ゲーム中に出てくる武器やアクションが洗練されていて、男心を鷲掴みにされたのを覚えています。

それからメタルギアシリーズにどっぷりハマり、大学生の時はメタルギアソリッド4のオンライン版を病気のようにやっていました。

そして最後のメタルギアシリーズ、『メタルギアソリッドⅤ ファントムペイン』も楽しませていただきました。


ファントムペイン、つまり幻肢痛。

戦争や事故、病気などで腕を失っても、まるでその腕が残っているような感覚(幻肢)と強い痛み(幻肢痛)が出ることが知られています。


幻肢痛の発生機序の全ては明らかになっていませんが、失われた腕を支配していた脳の領域が、突然に空っぽになるとともに、数分、数時間のうちにシナプス結合が再編成をすることが関連していると言われています。脳の地図が書き換えられるということです。


失った腕を支配していた脳の領域の隣接部位である、顔面や前腕の領域がその空っぽになった領域の神経細胞と神経的に結合するのです。


そのため、顔面を触ると存在しない腕の感覚が生じるようになります。その神経の再編成が広範囲になるほど、幻肢が痛みと関連し始め、幻肢痛に至るようです。


幻肢痛の治療方法にミラーセラピーがあります。

健側の腕を鏡に移し、失われた腕がまるであるように、脳に錯覚を起こさせます。

すると一度、再編成された脳の地図が修正されることで、幻肢痛が改善します。



このミラーセラピーに類似した現象があります。

ラバーハンド現象です。

図のように腕が本来あるはずの位置にゴム製の腕の模型をおき、見えない位置に腕をおきます。

そして被験者にラバーハンドに集中させながら、これらを同時に検査者が触ることで、ラバーハンドに自分の感覚が宿らせることができます。

感覚を宿らせた後に、ラバーハンドにナイフを突きつけると被験者は危険を感じ、発汗し手を引っ込めるそうです。



救急医:脳の機能を理解することで、物質に感覚を宿らせることができるとは驚きです。



今回はこちらの書籍を参考にしました。

脳の驚きの機能が最新の知見をもとに書かれていておすすめです。

興味があれば、ぜひご自身で読んでみてください。


手に映る脳、脳を宿す手

コメント