ミラーニューロンは自閉症で低活性

 ミラーニューロンという言葉を聞いたことがあるでしょうか。

このニューロンは1996年にイタリアの科学者によって偶然発見されました。


科学者が実験でサルの脳に電極を埋め込み、その電極の埋め込まれた領域が活性化すると、スピーカーから音が出るようにしていました。

その電極は腕を伸ばすため領域でしたので、実験ではサルにピーナッツを与え、それを取ろうとサルが腕を伸ばすと、スピーカーから音が出ていました。


実験が終わり、スタッフがテーブルを掃除していたとき、突然その音がスピーカーから流れました。なんとサルがスタッフが腕を伸ばしている行動を見ているだけで、電極の埋め込まれた領域が活性化していたのです。





このように偶然発見されたニューロンは
相手の行動を移す鏡のようだということでミラーニューロンと名付けられました。

ミラーニューロンは前頭葉の運動前野と側頭葉に存在し、視覚野や辺縁系の情動に関わる部分と強い神経的な結びつきがあることがわかっています。


救急医学びは真似から始まると子供の頃に聞かされていた気がしますが、このミラーニューロンはまさしくそれを行う神経細胞といえます。


歩行や筆記、スポーツや楽器演奏など多くの運動の学習はこのミラーニューロンが関連しています。また映画の登場人物の痛みや苦しみを見ると、観客もその感覚が共有されるのもこのニューロンの影響です。目の前にいる人の顔の表情(あくびや笑顔)が自分に移るのもこのニューロンが関係しています。


これらミラーニューロンの働きによって私たちは相手の気持ちを推察できるわけですが、自閉症の患者さんはこのミラーニューロンの活性が低いため、相手の気持ちがわかりにくいと言われています


ミラーニューロン、びっくりでした。

この内容は『手に映る脳、脳を宿す手』という本の一部を要約したものです。

仕事場の本屋で売っていたのでなんとなく買って読んでみたら、とても面白い内容でした。

ミラーニューロンの話はこの本の内容のごく一部です。

人間が人間になった理由を、手と脳の関連性を軸に書かれている良書です。

スウェーデンの先生の本を広島大学の先生方が訳しているようです。



興味があったらぜひご自身でも読んでみてください。

手に映る脳、脳を宿す手

コメント