ヘパリンは使用頻度の高い薬剤ですが、知らないことも多いのでまとめてみました。
アンチトロンビンⅢ(AT Ⅲ)は生理的凝固阻止因子で、Ⅱa、Ⅸa、Xa、Ⅺa、Ⅻaを不活性化します。ヘパリンはこのAT Ⅲと結合して、AT Ⅲ活性を1000倍に高めることで抗凝固作用を発揮します。
特にⅡa(トロンビン)、Xaの不活化がヘパリンの抗凝固作用の中心となります。
よく使う未分画ヘパリンは異なった分子量のヘパリンが混ざっています。
大分子量のヘパリンは抗Ⅱa作用が強く、
小分子量のヘパリンは抗Xa作用が強いそうです。
ヘパリンのモニタリングはAPTTを用います。
しかし、体外循環(V-A ECMO、V-V ECMOなど)や心カテ時のように高用量のヘパリンを投与する場合は、APTTが90秒以上となり、信頼性が低下するため、ACTでモニタリングします。
逆に通常量のヘパリン投与時はACTは全く当てにならず、APTTでモニタリングします。
救急医:ACTは簡便で迅速に結果が出るから使うのだと思っていました。
未分画ヘパリンは日本でしばしば投与されますが、欧米では深部静脈血栓症や肺塞栓症の治療に低分子ヘパリンを投与することが多いです。
低分子ヘパリンは分子量の小さいヘパリンのため抗Xa作用が強く、抗Xa活性でモニタリングしますが、日本では測定ができません。抗Ⅱa作用が弱いためAPTTやACTでもモニタリングできません。ただ低分子ヘパリンの抗凝固の作用は個人差が少ないため、そもそもモニタリングが不要とされています。
低分子ヘパリンは未分画ヘパリンと比較して30倍以上、ヘパリン起因性血小板減少(HIT)の発生率が低いと言われています。ただ未分画ヘパリンでHITが起きたからといって、低分子ヘパリンへのスイッチは禁忌です。
よく使うヘパリンですが、知らなことが多くて驚きました。
★ICU/CCUの薬の考え方、使い方 ver.2★
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