アニサキス症(グロ注意)

 先日、友人とお寿司屋さんで食事をした日のことです。

帰宅後、寝ていたところ、経験したことのない胃が湧き上がるような嘔気を感じました。

その後から間欠的で絞られるような上腹部痛が出現しました。


よくお腹は痛くなるので、様子をみていましたが、全く改善せず。

翌日は通常通り勤務をしていたのですが、さすがに経過が長いため自分で診察することにしました。


診察内容

腹部平坦軟、心窩部に間欠的な自発痛はあるも圧痛は目立たず。

嘔気は消失していて、昨日嘔吐1回。

血液検査では特記事項なく、腹部超音波検査でも胆嚢や膵臓、肝臓に異常なし。


30歳代前半の健康成人であり、運動負荷に関係のない間欠痛であるため心原性の可能性は低く、蠕動に伴う腸由来の痛みを疑う。


なおかつ上腹部痛であり、上部消化管疾患の可能性が高い。

胃潰瘍などを疑う吐血や黒色便なく、NSAIDSやストレス要因もなし。



このような考察を行い、お寿司屋さんで海産物を食べた後から出現した嘔気と上腹部痛から胃アニサキス症を疑いました。


無理を言って消化器内科の先生に、内視鏡をしてもらったところ、食道胃接合部にヤツがいました。





白くてウネウネしているヤツが。

アニサキスです。

内視鏡中はモニターを見せてもらいながら、リアルタイムで虫体を除去する様子を見せてもらいました。

内視鏡をして頂いた先生もアニサキス症は初めてだったようで一緒に感動してくれました。



アニサキスはアジやサバ、カツオなど身近な魚にくっついている可能性があります。

冷凍や加熱により簡単に死滅しますが、生の状態で食べる時は要注意ですね。

よくスーパーマーケットの魚売り場に注意書きがされています。



アニサキス症の痛みはかじられた痛みではなく、

そこで起きているアレルギー反応が痛みの主な原因だそうで、

薬剤としてはステロイドや強力ミノファーゲンCによるアレルギー治療が効果があるようです。

内視鏡で除去後も痛みが残っていたため、私もステロイドを内服しました。



そのアニサキスちゃんは、今も私の家のシャーレの中で生きています。

(動画のアニサキスは私の胃から出てきた本人です。)

でも数日経過してだいぶ弱ってきている感じはします。



アニサキス症の発症、そしてリアルタイムでの除去術の観察、その後の自宅での飼育。

とても良い経験になりました。


コメント

  1. コメントありがとうございます。確かに臨床推論大切ですね。ちなみに動画内のアニサキスの口についている白い繊維は私の胃粘膜です。スッポンよりしぶといです。

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