怖くて眠れなくなる感染症 PART 1

新型コロナウイルス感染症。
一旦は落ち着いたように思っていましたが、東京都を中心に再度、感染者数の増加がみられています。感染者の多くは若年者のようですので、そこまで重篤化する人の数は多くないとは思いますが、高齢者に感染流行が移行した場合は怖いものです。


コロナ関連の番組で多くお見かけする岡田晴恵氏。
ピンクのインナーカラーが印象的な人です。


そんな岡田氏が2017年に執筆した本『怖くて眠れなくなる感染症』を読みました。
まだコロナが流行する前に書かれた本ですので、その内容はありませんが、19種類の感染症について記載されています。


その中から私が勝手に面白いと思った部分のみを要約してみようと思います。




◆ エボラ出血熱
この疾患は1976年にスーダンで初めて確認されました。患者が働いていた綿工場のトタン屋根にはおびただしい数のコウモリが生息していて、これらのコウモリが保有していたエボラウイルスに感染したのです。


私が注目したのはこの疾患の病態ではありません。


エボラウイルスの流行が起きた町の人々は「エボラは白人が黒人を殺すために生み出したもの」と考え、調査にきた保健担当者7人を殺害したことです。感染症の流行期には、妄想や恐怖によって人々が冷静な判断が下せなくなることを意味していると思います。


救急医:新型コロナの流行が日本で始まった時も、デマによって恐怖を煽られた人々が、トイレットペーパーや食料品を買い占めたことが記憶に新しいです。恐怖は動物の根源的な情動であり、いつの時代も人間の恐怖は変わりなく生じると思いますが、理性によって情動をコントロールしないとパニックを起こしてしまいますので注意が必要だと思います。



◆ ジカウイルス感染症
2015年にブラジルで流行したことを覚えていますでしょうか。
蚊が媒介するウイルス感染症で妊婦が感染すると胎盤を通過して胎児に感染し、小頭症など重篤な後遺症を引き起こします。


2016年はブラジル・リオデジャネイロ五輪が開催されましたが、その裏では専門家たちが五輪によるジカウイルス感染症の大流行を危惧して、WHOに開催の延期や開催場所の変更を求めていたようです。


救急医:新型コロナと東京五輪の構図にそっくりですね。ジカウイルス感染症に比べて新型コロナの流行は大規模だったので、さすがに東京五輪は延期されましたけどね。



◆ 天然痘
唯一、根絶できた感染症は天然痘だけだそうです。1977年、ソマリアの男性を最後に地球上から消えたのです。

それは
①ワクチンが開発できたこと
②不顕性感染がなく感染した人は全て発症したこと
③人にしか感染しないこと
という条件が揃ったことで成し遂げられたと考えられています。
なんと天然痘は20世紀だけでも3億人の感染死を起こしたそうで、有史以来、人類の1/10がこれで死亡しました。


救急医:20世紀の戦争による死者数は1億人ほどらしく、感染症は戦争より人の命を落としたようです。日本では戦争は恐ろしいと学校で教育されてきますが、それ以上に感染症が恐ろしいことも教育しないといけないと感じます。



今回の記事はここまでにします。
次回もこの本の要約をお届けしようと思います。





怖くて眠れなくなる感染症
こちらから購入できます

コメント