PEGeD試験

PEGeD試験。なんて読むのでしょうか。ペゲド試験?。

検査前確率とDダイマーを組み合わせた肺塞栓症の除外ルールを前向きに検証した論文が昨年の11月にThe NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINEに投稿されました。
この除外ルールは以前から後ろ向き研究で有用であることが示唆されていましたが、それを前向きに検討したところに価値があります。



肺塞栓症を疑う症状や徴候が見られた18歳以上が対象です。
来院した患者さんにWellsスコアをつけます。0-4.0点を低検査前確率(C-PTP)、4.5-6.0点を中等度C-PTP、6.5点以上を高C-PTPに分類します。高C-PTPに分類された患者さんはDダイマーがどうであろうと肺塞栓症のリスクが高いため造影CTまたは換気血流シンチを撮影します。また低C-PTPの中でDダイマーが1000 ng/mL以上、中等度C-PTPの中でDダイマーが500 ng/mL以上の患者さんも肺塞栓症の検索のため画像検査を行います。画像検査をして肺塞栓症が見つかった場合は、抗凝固療法を行います。

それ以外(低C-PTPでDダイマー1000 ng/mL未満、中等度C-PTPでDダイマー500 ng/mL未満)の患者さんは肺塞栓症が除外できたと判断しそれ以上の精査・治療はしません。これらの患者さんをその後3ヶ月間にわたり肺塞栓症と深部静脈血栓症(VTE)を生じないか追跡しています。

その結果、肺塞栓症をPEGeD試験アルゴリズムで除外できた症例群では1例もVTEを発症することはありませんでした。

今までの研究で低C-PTPでDダイマー500 ng/mLだった場合は肺塞栓症を除外できることがほぼ確立しています。この従来の戦略を取るとすると画像検査をする率は51.9%となります一方でこのPEGeD試験アルゴリズムでは画像検査をする率は34.3%となります。

以上の結果から著者らは肺塞栓症疑い症例に対する画像検査をPEGeD試験アルゴリズムを用いることで減らすことができると結論付けています。

私はこの論文を読む前からDダイマー1000 ng/mL未満の患者さんには造影CTをとっていなかったため、あまり診療には影響はなさそうです。PEDeD試験アルゴリズムでは中等度C-PTPで500 から1000 ng/mLでは造影CTを撮影しているため、この症例群の撮影を減らせる除外ルールができないかと思いました。


『PEGeD試験』
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1909159


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