トラネキサム酸。商品名はトランサミン。
どこの病院に行っても置いてある安い薬です。
内服薬のトランサミンは咽頭痛などに広く処方されています。
そんな常に脇役のトランサミンが主役になっている論文を紹介します。
2010年にCRASH-2が発表されました。
重症な出血をきたしている外傷患者にトラネキサム酸を投与することで死亡率を改善させることを証明しました。ただCRASH-2では頭部外傷例は対象外でした。
それを踏まえてCRASH-3が2019年10月14日にThe Lancetに掲載されました。頭部外傷に対するトラネキサム酸の効果を検討しています。
頭部外傷を負った患者をトラネキサム酸投与群とプラセボ群に分けプライマリーアウトカムを28日死亡率としました。結論から言うとこのプライマリーアウトカムは両群に差がなかったのですが、サブグループ解析で軽症から中等症(GCS 9−15)の症例はトラネキサム酸群で死亡率の改善がみられました。対光反射が両側ある群と片側もしくは両側ない群に分けて考えても、両側対光反射ありの群で死亡率の改善が見られました。
(GCS 8以下や対光反射消失症例ではすでに脳ヘルニアが起きている可能性が高く、トラネキサム酸投与では予後を改善できないのでしょう。)
しかもCRASH-2と同じくトラネキサム酸を投与することの合併症はなかったとのこと。
これから外傷患者にトラネキサム酸を投与するしかありません。
さらに受傷から投与するまでの時間が短いほど予後が良かったようで、DrCarやDrHeliなどのプレホスピタルで投与開始が望ましいですね。
DrCarやDrHeliが運用されていない夜間では現状プレホスピタルでの投与はできません。
救命士さんの特定行為として認められる日が来るのでしょうか。
外傷患者は毎日数多く搬送されます。新薬が次々に開発され、薬価が高い薬が多い中、トラネキサム酸は古くて安い薬ですので、投与のためらいは不要です。医療現場の現状に合った非常に社会貢献度の高い論文だと思いました。
『CRASH-3』
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(19)32233-0/fulltext
どこの病院に行っても置いてある安い薬です。
内服薬のトランサミンは咽頭痛などに広く処方されています。
そんな常に脇役のトランサミンが主役になっている論文を紹介します。
2010年にCRASH-2が発表されました。
重症な出血をきたしている外傷患者にトラネキサム酸を投与することで死亡率を改善させることを証明しました。ただCRASH-2では頭部外傷例は対象外でした。
それを踏まえてCRASH-3が2019年10月14日にThe Lancetに掲載されました。頭部外傷に対するトラネキサム酸の効果を検討しています。
頭部外傷を負った患者をトラネキサム酸投与群とプラセボ群に分けプライマリーアウトカムを28日死亡率としました。結論から言うとこのプライマリーアウトカムは両群に差がなかったのですが、サブグループ解析で軽症から中等症(GCS 9−15)の症例はトラネキサム酸群で死亡率の改善がみられました。対光反射が両側ある群と片側もしくは両側ない群に分けて考えても、両側対光反射ありの群で死亡率の改善が見られました。
(GCS 8以下や対光反射消失症例ではすでに脳ヘルニアが起きている可能性が高く、トラネキサム酸投与では予後を改善できないのでしょう。)
しかもCRASH-2と同じくトラネキサム酸を投与することの合併症はなかったとのこと。
これから外傷患者にトラネキサム酸を投与するしかありません。
さらに受傷から投与するまでの時間が短いほど予後が良かったようで、DrCarやDrHeliなどのプレホスピタルで投与開始が望ましいですね。
DrCarやDrHeliが運用されていない夜間では現状プレホスピタルでの投与はできません。
救命士さんの特定行為として認められる日が来るのでしょうか。
外傷患者は毎日数多く搬送されます。新薬が次々に開発され、薬価が高い薬が多い中、トラネキサム酸は古くて安い薬ですので、投与のためらいは不要です。医療現場の現状に合った非常に社会貢献度の高い論文だと思いました。
『CRASH-3』
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(19)32233-0/fulltext
トラネキサム酸はその他にも色々な使い道があると最近思ってます。例えば消化管出血、更に細かいとこだと鼻出血、何らかの組織針生検などなど。
返信削除確かに!予防的投与もよいかもしれませんね。
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